玲子は、そのとき本当に嬉しそうに言った。


「ありがとう……楽しみにしてるね!」



俺は敢えて、もうプレゼントの話はせずに話題を変えた。


それは……。


何か恩着せがましく思われるのが嫌だったからだ。


そして、プレゼントで玲子の心を釣るようにも思われたくなかった。



だって、俺は……心から玲子にプレゼントをしたいと思ったからだ。



心を込めた何かを、玲子に贈りたい……。



俺は、そのとき確かにそう感じていたんだ。



玲子と言葉を重ねるうちに、俺は玲子のことをもっともっと知りたくなっていた。



たとえば……。


玲子の顔も見たい。


玲子の声も聴きたい。


どこに住んでいるのか。


歳は幾つなのか……。



知りたいことは、たくさんある。


でも俺は、敢えて玲子には訊いていなかった。



でも、俺は玲子のことをもっと知りたくなってしまったんだ。


俺も、玲子もサイトには写真をアップしていなかった。



話をするときいつも見ているのは、玲子のアバターだ。


にとっての玲子は、そのアバターのイメージでしかない。



ただ何の気なしに、暇つぶしで話をするだけならばそれでも十分かもしれない。


だけど、もう……俺にとっての玲子はバーチャルではない。


玲子は、今の俺にとっては一番大切な現実だったから……。



「玲子ってさぁ……どこに住んでるの? 教えてくれる?」


「あなたは東京だよね……あたしは神戸、だよ……」


「そうか、神戸か……遠いね……」


「そうだよ、ね……いつもはこんなに近いのに、実際の距離は遠いよね……」



玲子は、少し寂しそうにそう言った。