『First X'mas Eve(ファーストクリスマスイヴ)』 和泉ヒロト
プロローグ
俺は、何を求めているのだろう?
心の安らぎ?
癒し?
安心感?
いや、それらを全てひっくるめた……愛?
でも俺は、そんなことなんて信じない。
人は皆、独りで生きて行かなくちゃならない。
俺は、そう信じていたから……。
1
玲子に出逢ったのは、あるサイトだった。
偶然出逢った玲子に、俺は何気なく声を掛けた。
それは、ただ……ヒマだったからだ。
もちろん、いつも俺は時間に追われている。
会社を出ても、仕事の電話は掛かってくるし……。
家に帰ってからも、片付けなければならない仕事がある。
とは言っても、息抜きも必要だし。
俺は、久しぶりにそのサイトにアクセスしてみた。
そして偶然、玲子に出逢ってしまったんだ。
そのサイトでは、自由にチャットが出来た。
まるで、すぐそばにいるように話が出来る。
いつもの俺は、チャットなんてしない。
どうでも良いような話を、ただの他人とするなんて面倒なだけだ。
でも……何故か俺は、そのとき玲子に声を掛けてしまった。
「こんばんは! 元気?」
そんな俺の言葉に、玲子はこう言ったんだ。
「……元気じゃない、かな……」って。
うん? そう、なんだ……。
俺は、その時玲子の心の痛みを感じてしまった。
何故かは、良く分からないけれど……。
そして、もしかしたら玲子は……。
俺と良く似ているのかもしれないって……。
俺は、少しずつ玲子の情報を聞き出して行く。
それは本当に……ただ純粋に、興味本位で……。
それが、俺と玲子の出逢だったんだ。