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俺は、引き込まれるように日記を読み進めた。



日を追うに連れて、カレンとカノンの関係は濃密になって行く。


お互いが、お互いの記憶を吸収して自分のものにして行く……。



そんな様子が、本当に楽しそうに綴られていた。



ただ日記を眺めていただけでは、本当に仲が良いふたりとしか映らないのかもしれない。



だけど、俺には……カレンとカノン、ふたりの願望を知ってしまった俺には……。


痛いほどの、ふたりの求め合う感情が見て取れた。



そして、ふたりはお互いの心の隙間を……。


そう、埋められなかった漠然とした不安を埋めて行ったのだ。



カレンが書いたその日記には、カノンのことが「アイツ」と書かれていた。



なぜ「アイツ」なのか?



それは自分とは違う幸せな家庭で育てられた、カノンへの恨みから書かれた言葉だったのかもしれない。


しかし、そのうちカレンはカノンの悲しみを知る。



そしてお互いが求めたことが、お互いに足りないことだと気づいたのだ。



だから「アイツ」と呼ぶカレンの言葉には、次第に愛情が溢れて行った。



もしかしたら……カノンのお母さんは「アイツ」=俺だと思っているのかもしれないな……。



そしていつの間にかページは、ついにその日になっていた。




1990年9月4日(日)



あたしは、シュンと出逢った。


これまでには、出逢ったこともないひと。



一瞬にして、あたしはシュンのことが好きになった。


シュンの笑顔、優しい声、仕草……シュンの全部が大好き。



だけど……。