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その日記は、カレンがカノンと出逢った日から始まっていた。
俺は、ゆっくりとページをめくりながら日記を読み進める。
1990年7月13日……金曜日に……ふたりは出逢ったんだ。
そして、それから2ヶ月の間……カレンとカノンの不思議な生活ぶりが書かれていた。
確かに、この日記はカノンが書いていたと間違われても仕方ないだろう。
全ての文章は一人称であり、ふたりのどちらが書いたのかは分からなかった。
登場人物は……アイツ。
それは、本当はカノンのことだった訳だ。
そして俺は、その日記の内容に心が震えていた。
それは……カレンとカノンが、お互いの記憶の全てをさらけ出して……お互いに共有すること……。
お互いがお互いの記憶を持って、別々に過ごした時間を埋めるように……。
そんな行為を毎日行っていたことが書いてあった。
そして、そんな生活を続けているうちに……ふたりの意識はひとつになったのかもしれない……。
一卵性双生児は、ふたりでひとつの意識を持つという話を聞いたことがある。
違った境遇で育ったふたりは、お互いにお互いの存在に憧れていた。
そしてふたりは……お互いに、なりたかったのだ。
俺は、あの不幸な事故のことを知りたかった。
そしてそのために、この日記を手に入れた。
俺は……思っていたんだ。
あれは事故じゃなくて、事件だったのかもしれないって……。
もしかしたら、だが……カレンが、カノンを殺そうとした。
そうは思いたくなかったが、そうなのかもしれないとずっと不安を感じ続けていた。
でも……。
俺は……自分の考えが間違っていたことに気づき始めていた。
ふたりに何が起こってしまったのか?
俺は、少しずつ分かったような気がしたんだ。