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お母さんは一瞬困惑した顔を見せて、俺に言った。



「もしかして……シュン、さん?」


「……はい……」



俺の返事を聞いたお母さんは、ニッコリと笑った。



「そう……あの日記は、まだちゃんと読めてないの……まだ、そんな気にはなれなくて……でも……」



お母さんは、ミルクティーをひと口飲んで言葉を続けた。



「あなたはカノンの彼氏だったのね……日記には、あなたのことが書いてあったわ……ちょっと待ってて!」



お母さんはソファーを立って、隣の部屋に消えた。



その日記の指紋と死んだカレンの指紋は一致した。


ということは、それはカレンが書いた日記だ。



俺は、その日記に今回の事件の秘密があると考えていた。



カレンは、俺のことを日記に書いていたのか……?


カレンは、いったい何を書いたんだ?



「はい、これ……」



そんなことを考えていると、お母さんが日記を持って来た。


白いカバーのバイブルサイズの日記帳だった。



「当分あなたに預けるわ……ゆっくりと読んでみて……」



お母さんは、そう言って悲しげにニッコリと笑った。



カノンの実家を後にした俺は、近くの公園まで歩く。



木のベンチに座って、さっき預かった日記帳をじっと見つめた。



カレンは、いったい何を書いたのだろう?


カレンは、俺を彼氏だと書いたのか……?



俺は複雑な気持ちで日記帳をじっと見続けていた。



そして俺は、ついにゆっくりと日記帳を開いた。