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カノンにカレンの記憶が……!?
つまり、ふたりはひとつになってしまったということか?
そんな、バカな……でも……。
不思議なことは、当たり前のように起こる。
俺は、目の前に居るエリをじっと見つめながら思っていた。
エリだって、ユウナだって……。
当たり前に不思議なことが起こっているしな……。
「カノンも、カレンもお互いが同じことを望んだんだと思う。お互いが、逆になりたいって……」
「……でも、その望みは完全には叶わなかったという訳か……」
「そうだよね……でも……」
「でも……?」
「もしかしたら、ふたりは幸せなのかもしれない。長い間離れていたふたりだけど、お互いに必要な存在だったと思うの……」
エリちゃんは、フッと笑ってこう続けた。
「あの日、ね……カノンがあの土手で、誤って足を滑らせたみたい。手を繋いでいたカレンは、カノンを守ろうとしたみたいなの……そして、そのためなのか……カレンは不自然な体勢で土手から落ちてしまった……」
「そして、不幸なことにカレンは亡くなってしまったということか……」
「そう……首の骨を折って……」
俺は、ゆっくりと目を閉じてカレンを思った。
あの日、カレンは……本当に楽しそうに笑っていた。
そして俺は、自然にカレンを求めて……俺たちは愛し合った。
そして俺は、恋に落ちた。
ユウナのことを本当に忘れられるかもしれない……そんな予感を感じながら……。
でも、俺はそんなカレンを永遠に失ってしまった……。
いや、それは違うか……。
カレンは、カノンの中に間違いなく生きているのだから。
俺は、隣の部屋で眠っているカノンのことを思った。
俺は、カノンに何が出来るのだろう?
何がしてやれるのだろう?