71
それが……いま俺の目の前にいるエリちゃんか……。
俺は、エリちゃんが言った言葉を少しずつ思いだし始めていた。
「なぁ、エリちゃん……あのとき、君は……」
「エリでいいよ、シュンさん……」
俺はエリちゃんの顔を、じっと見つめる。
どうして今まで気付けなかったのだろう……。
エリがユウナの妹だと……それは、俺がもうユウナのことを忘れかけていたからだよな……。
俺は微妙な罪悪感を感じながら、そんなことを考えていた。
エリは、あの頃とは見違えてきれいになっている。
もちろん、あの頃だってかわいい子だとは思ったはずだ。
だけど、あの時の俺にはそんなことを考える余裕は正直なかった。
だから、エリことはすっかり記憶から抜け落ちてしまっていたんだ……。
「……あの時、君は……俺の気持ちを正確に理解したよね……それって……」
「そうだよ。だって、あたしはお姉ちゃんの妹だから……」
「そうか……君にも不思議な力があるってことか?」
「……そうだよ、シュンさん……」
俺は、もう一度エリの顔をじっと見つめた。
きっと、この子は今の俺の気持ちも理解してしまう……。
「シュンさん……大丈夫だよ。知りたくないと思えば、入ってこないから」
「君の心の中に、かい?」
「そう。だから、安心して……」
そう言って、エリはニッコリと笑った。
その笑顔は、確かにユウナに少し似ていた。
「君は、確かこう言ったんだ……重なりは、ひとつになる……繋ぎ止める、ために……」
「そうだよ、シュンさん……それは……お姉ちゃんからの伝言だったの……」
俺は湧き出すように突然思い出したその言葉の意味を、しっかりと受け止める。
そして少しの喜びと、少しの不安と共に感じていたんだ。
ユウナ、は……今でも生きている、と……。