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それが……いま俺の目の前にいるエリちゃんか……。



俺は、エリちゃんが言った言葉を少しずつ思いだし始めていた。



「なぁ、エリちゃん……あのとき、君は……」


「エリでいいよ、シュンさん……」



俺はエリちゃんの顔を、じっと見つめる。



どうして今まで気付けなかったのだろう……。


エリがユウナの妹だと……それは、俺がもうユウナのことを忘れかけていたからだよな……。



俺は微妙な罪悪感を感じながら、そんなことを考えていた。



エリは、あの頃とは見違えてきれいになっている。


もちろん、あの頃だってかわいい子だとは思ったはずだ。



だけど、あの時の俺にはそんなことを考える余裕は正直なかった。


だから、エリことはすっかり記憶から抜け落ちてしまっていたんだ……。



「……あの時、君は……俺の気持ちを正確に理解したよね……それって……」


「そうだよ。だって、あたしはお姉ちゃんの妹だから……」


「そうか……君にも不思議な力があるってことか?」


「……そうだよ、シュンさん……」



俺は、もう一度エリの顔をじっと見つめた。


きっと、この子は今の俺の気持ちも理解してしまう……。



「シュンさん……大丈夫だよ。知りたくないと思えば、入ってこないから」


「君の心の中に、かい?」


「そう。だから、安心して……」



そう言って、エリはニッコリと笑った。


その笑顔は、確かにユウナに少し似ていた。



「君は、確かこう言ったんだ……重なりは、ひとつになる……繋ぎ止める、ために……」


「そうだよ、シュンさん……それは……お姉ちゃんからの伝言だったの……」



俺は湧き出すように突然思い出したその言葉の意味を、しっかりと受け止める。



そして少しの喜びと、少しの不安と共に感じていたんだ。



ユウナ、は……今でも生きている、と……。