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確か、あの時……。
そう、駆け付けたお通夜の席でのことだ。
俺は、かなり動揺していて良くは覚えていないのだが……。
確かに、エリちゃんと話をしたんだ。
俺は思い出したくない、あのシーンを思い出そうとしていた。
ユウナが本当に消えてしまったことを実感した、あの数日のことを……。
ユウナの葬儀は、千葉の外れにある町で行われた。
そこがユウナの実家だったからだ。
俺は長い時間電車に揺られながら、何回か電車を乗り継いでその町に着いた。
駅からバスに乗って、寂しいバス停で降りる。
葬儀が行われる大きな寺まで、暗い夜道を独りで歩いた。
通夜は、もうほとんど終わってしまっていた。
ふらふらと焼香台の前に立って、手を合わせる。
ふと見上げた俺の目に、ユウナの遺影が飛び込んで来た。
俺は軽い眩暈を感じながら、いまこの場面をまるで夢のように感じていた。
足元がふわふわして、現実感が伴わない。
そんな気分が、俺にまとわりついていた。
ユウナが横たわっている祭壇のそばに座って、俺はじっとユウナの遺影を見続けていた。
優しく微笑むユウナの顔……それは、俺が一番好きなユウナの表情だった。
俺は溢れ出す涙を、気づいたようにまっ白いハンカチで押さえる。
俺は、何も気付けなかった。
ユウナの本当の気持ちを知ろうともしなかった。
結局、俺はユウナを寂しく逝かせてしまったんだ……。
そんな後悔が、俺の胸を締め付けていた。
「……それは違うよ、シュンさん……」
そのとき背中から掛けられたユウナの声……いや、良く似た違う声に俺はハッとする。
振り返ると、そこにはセーラー服を着た高校生の女の子が立っていたんだ。