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一瞬にして気が抜けてしまった俺は、ひとつ大きく息を吐いた。



しかし……。


俺には知らなければならないことがある。



そして、さっきからずっと引っかかっていたことも……。



「エリちゃん、さ……さっき、言ったよね……」


「えっ? 何を?」


「……カノンは大人しい子で、今のカレンと同じようだって」



エリちゃんは困ったような顔をして、そしてゆっくりと頷いた。



俺は、そんなエリちゃんの瞳をじっと見ながら言葉を続ける。



「って、ことは……明るかったカレンが、以前のカノンと同じように大人しくなったってこと?」


「そう、なの……」


「もしかして、言ってた不思議なことって……それのこと?」



エリちゃんは、俺の言葉にゆっくりと頷いた。



そう、か……。


俺は、考えを巡らせる。



どうして、二人は運河に落ちたのだろう?


カレンとカノンの二人に、何が起こったというのだろう?



そして、なぜ……。


カノンが死んで、カレンが生き残ったのか?



その事故が原因なのだろうが……。


カレンの性格が、180度違うカノンの性格になった。



そして、カレンは……。


カノンという人格も、そのときに生まれたのか?



分からない……。


分からないことだらけだ……。



そのとき、エリちゃんがゆっくりと口を開いた。