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エリちゃんは、ひとつ大きく息を吐いた。
そして、覚悟を決めたようにゆっくりと言葉を続けた。
……詳しいことは、分からないの。
あの日、病院から電話が掛って来て……。
カノンとカレンが、事故に遭ったって……。
事故、だって……?
俺は自然と震えだした手を抑えるために、腰の前でギュっと両手を組んだ。
そう……二人は良く運河の土手を散歩していたの。
あの日も、暑い日だった。
だから、夕方陽が落ちてから二人で散歩に出かけたみたいなの。
そして……二人は一緒に運河に落ちたの……。
なぜ何だ?
どうして、そんなことに?
分からない……。
そのとき、二人の姿を見た人は居なかったから……。
たまたま犬の散歩をしてた人が二人を発見して……。
二人は病院に運ばれたんだけど……。
エリちゃんは、言葉を詰まらせながらポロポロと涙を零した。
そんなエリちゃんの涙の意味を、そのとき俺は理解した。
その事故で、カノンは……亡くなったの……。
土手を落ちるときに、運悪く首の骨を折って……。
やはり、そうか……。
俺は足元から、一瞬にして力が抜けていくのを感じていた。