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「消えたって……どうして?」
「分からない……目を覚ましたら、いなかったんだ……」
「……ねぇ、シュンさん……これから逢えない?話があるの……」
「分かった。どこに行けばいい?」
「あたしの部屋に来て……住所を言うね、メモして……」
俺はエリちゃんの言うままに、住所をメモした。
エリちゃんは何かを知っている……。
俺には、そんな予感があった。
俺の予想通り、エリちゃんはあれからタローとすぐに別れたのだろう。
そして、もしかしたら……。
エリちゃんはすべてを分かった上で、俺にカレンを引き合わせたのではないのか?
俺は、そんな気がしていた。
それで、エリちゃんの行動や言葉に辻褄が合う。
ホテルをチェックアウトした俺は、急いでエリちゃんの部屋へと向かう。
渋谷の道玄坂を小走りに駅へと向かいながら、俺は不安な気持ちを押し殺していた。
エリちゃんが言った不思議なこととは何だ?
そして、カレンは……いや、カノンはどこに行ってしまったんだ?
今の俺には、何の手がかりもない。
いま頼れるのは、エリちゃんしかいないのだ……。
京王井の頭線のホームに着いた俺は、小さな電車の飛び乗って下北沢へと向かう。
電車に揺られながら、俺の気持ちも揺れていた。
俺は、どうすれば良いのだろう?
カレン……カノン……。
俺は、二人の「同じ女」を愛するのか?
いや、それよりもまずはカレンを見つけることだ……。
エリちゃんの部屋は、駅からほど近いマンションの7階にあった。