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俺は、カノンを愛している。



そのとき俺は、そうはっきりと自覚したんだ。



カノンは、どこに行ってしまったのだろう……。


焦る気持ちと、落ち着かなければ、という気持ちが交錯する。



それでも俺は、説明できない疑問に頭を抱えていた。



俺は、あの日カノンの留守番電話にメッセージを吹き込んだ。


しかし、カノンからの電話が掛ってくることはなかった。



でも……カノン……いやカレンかもしれないが、俺のメッセージは必ず聞いたはずだ。


だとしたら……。



カノン……いやカレンは、俺のことを知っていることになる。


しかし、昨日の夜のカレンは俺のことを本当に知らないようだった。



いったい、どういうことだ?


分からない……。



俺は一旦、そう考えるのを止めた。


結論が出ないことを考えていても仕方がない。


今は、まずカノンを探すことだ……。



俺は受話器を取り上げて、エリちゃんの電話番号をプッシュする。


エリちゃんは居るだろうか……?



もしもタローとよろしくやっていたとしたら、エリちゃんは自分の部屋には居ないだろう。


居てくれよ、エリちゃん……。



そう祈りながら俺は、呼び出し音を聞く。


でも、たぶん……。



そのとき、電話が繋がった。


「もしもし? エリちゃん? シュンだけど……」


「あっ、シュンさん? カレンは大丈夫だったの?」


「……カレンは……カノンになったよ……そして、消えたんだ……」


「えっ?」