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「ねぇ、シュン……どうしてカノンを捨てたの?」



えっ?



突然の、カノンのそんな問いかけに俺は動揺していた。



俺がカノンを捨てた、だって?



……確かに、カノンと一緒に居る時に他の女から電話が掛ってきた。


そしてカノンは、俺の前から姿を消した。



だけど……。


いや、それがカノンにとって「捨てられた」ということなのだろうか?



でも……それは、ちょっと違うよな……。



もしも……カノンが俺に全幅の信頼を寄せていて……。


他の女とは一切逢わない……電話もしない……そう信じていたら話は別だが……。



俺とカノンは、その夜初めて出逢ったんだ。


一度くらい寝たからと言って、そんな風に信頼するなんて思えない。



俺のアタマの中に、いくつかの疑問が湧いては消えた。



「ねぇ、てば……どうしてなの?」


上目遣いに、カノンが俺を見つめていた。


その表情は、とても真剣だ。



俺は、カノンに気持ちを正直に伝えることにした。


「俺は……カノンを捨てたりなんかしてないよ……」


「嘘……カノンは、シュンに捨てられたのよ…… 」



カノンの表情が、少し違って見えた。


そしてカノンは、俺にこう言ったんだ。



「だから、カノンは……自分で自分を殺そうとしたのよ……」


えっ……?



君は今……カレン、なのか……?