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「どうして……どうしてなんだユウナ! 俺が悪いのか? 俺の愛が足りないから……」



ユウナはハァーと息を吐いて、俺をじっと見つめて言った。


「そうじゃないよ……でも、もう……一緒に居たくなくなっただけ……」


「……どういう意味だ? あの男が原因なのか?」


「そうよ! だからもう終わりにしましょう。もう何も言うことはないわ。帰ってください……」



嘘、だろ……?


俺は、呆然とユウナの言葉を聞いていた。


そして、その意味をしっかりと理解した。



「お前は、あの男と寝たのか!? 俺を裏切ったのか?」


「そうよ……でも裏切ったんじゃない。だって先輩とあたしは、そんな関係じゃないじゃない!」



ユウナは、何を言ってるんだ……。


一緒に居た、俺たちの時間は?


あれは、何でもなかったというのか?



アタマもカラダも、カーッと熱い。


そして俺は、無意識のうちに立ち上がっていた。



「……よく分かった。じゃぁ……」


俺はユウナの顔も見ずに、ドアのほうへと歩いた。


もう……どうでもいい……。


この場所には、もう……居られない……。



ドアを開けた俺の背中に、ユウナは言った。


「……ありがとう、シュン……さようなら……」



一瞬、無意識に振り向こうとした俺は、それを意志の力でやめた。


チラッと見えたユウナの顔は、悲しそうに歪んでいた。



でも……もう、どうでもいい……。



俺は、ユウナに裏切られた。


いや、ユウナに言わせればそんな関係なんかじゃないってことだよな……。



見上げた夜空には、明るい月がぼんやりと涙で滲んでいた。



そして俺がユウナの姿を見たのは、それが最後だった。