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ユウナは台所に立って、手際良く料理を作り始めた。


ユウナが作ったペペロンチーノとサラダの夕食は、孤独だった俺にはとても温かく感じられた。


「うん! 美味しいよ! 俺……すごく嬉しいよ!」



そんな素直な気持ちが、自然と俺の口から出ていた。


今まで、こんなに素直な気持ちで女と接したことはなかったかもな……。


俺は、そんなことを思いながらついつい笑顔になっていた。



「あたしも嬉しい! シュンさん、本当に美味しそうに食べてくれるから……」


そう言って恥ずかしそうに笑うユウナの笑顔が、たまらなく愛しかった。



「ごちそうさま! 皿くらい洗うよ、俺!」


そう言って俺は、台所に立つ。



「いいのに、シュンさん……じゃぁ、一緒に洗おうかな……」


俺とユウナは、ふたり並んで狭いシンクの前に立った。



俺が洗った皿を、ユウナがふきんで拭く。


ふと見たユウナの横顔が、とても可愛く見えた。



「なぁ、ユウナ……俺、さ……ユウナのことが……」


そう言い掛けた俺に、ユウナは突然俺の背中に抱きつきながら言ったんだ。



「それ以上は言っちゃダメ……」


「えっ? どうして……?」


俺はユウナの次の言葉をドキドキしながら待つ。



俺の背中にユウナの温かさと柔らかさが伝わる。


そしてユウナは、そのとき俺にはっきりと言ったんだ。



「あたしが先に言いたいの……あたし、シュンさんが好き……初めて逢ったあの時から……」


「ユウナ……」



振り向いた俺は、ユウナをギュッと抱き締める。



そして、そのとき俺は確かに感じていたんだ。



今までに感じたこともないほどの幸福感と、漠然とした不安を……。