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「カレン……もう一度訊くけど……本当にカノンという子を知らないのか?」



カレンは、ふぅっと息を吐いて言った。


「本当に知らないよ……でも……」


「うん? でも、何?」


「そんなに、そのカノンって人のことが気になるんだね……」



カレンは悲しそうな瞳で、じっと俺を見つめていた。



そうだよな……何言ってんだろ、俺……。


カレンにとっては、カノンのことなんて関係ないことだ。



いや、逆に自分に似ている女の話をされても不愉快なだけだろう。


もしもカレンが、俺に似た男のことを知っているか?と訊いてきたら?


それは、俺にとってきっと悲しいことだと思う。



「ごめん、カレン……俺が悪かった……」


「どうして謝るの? 謝るようなことなの?」



俺は、カレンの瞳をじっと見つめる。


「いや、カレンにとってはただ不愉快な話だと思ったからさ……」


「ううん……それだけ、シュンが忘れられない人なんだよね……」


「うーん……どうなんだろう……分からなくなって来たんだよ……」


「えっ? どういうこと?」


「正直に言うとね……カノンという子を好きになったんだ。でも、すぐに振られたっていうか……」


「そうなんだ……だから、その人に似ているわたしを好きになろうとしてるんだ……」



カレンは瞳に涙を潤ませながら、こう言ったんだ……。


「シュン……きっとカノンも喜んでると思うよ……そんなにシュンに想われて……」