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「送るよ……行こう、カレン……」
少し不服そうな顔をしたカレンは、渋々といった感じで席を立つ。
ホテル街をカレンと歩く。
いつの間にかカレンは、俺の腕にぶら下がるように自分の肘を絡ませていた。
「……ねぇ、シュン……やっぱり帰りたくないよ……」
立ち止まったカレンが、じっと俺の目を見つめていた。
シュン、か……。
俺の名をそう呼ぶカレンが、あの日のカノンとダブって見えた。
俺は、ひとつ息を吐いて考えていた。
俺は、いったいどうするべきなのか?
カレンのことをどうでも良いと思っていたら、答えは簡単だ。
でも、俺は……。
「ねぇ、シュン……誰か他のひとのことを想ってるの?」
カレンは泣き出しそうな顔で、俺にそう訊いた。
俺は、何も言えなかった。
カレンを大切にしたいという気持ちは、嘘ではない。
そして、カレンが本当にカノンだったとしたら。
俺は同じ過ちを、また犯すことになってしまうのだから……。
俺は、葛藤していた。
古いROLEX EXPLOLERの針は、午前1時40分を回っていた。