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俺は、感じていたんだ。


カレンは、やはりカノンじゃないのかって。



冷静に考えれば分かることだ。


ここまで似ている他人なんていないだろう。



確かに薄化粧で大人しいファッションのカレンと、どちらかというとケバいカノン。


タイプは、まったく違う。



最初は、ただ良く似ているだけだと思っていた。


だけど、その声や仕草は同一人物のそれだった。



しかし……。


カレンがカノンだとして、どうして俺に今までのような反応をしていたのだろう?



「俺を知ってる?」と訊いたとき、カレンは知らないと言った。


その様子は、間違いなく自然だった。



演技だとしたら、アカデミー賞主演女優賞なみの演技力だ。


しかし……やはり、カレンが嘘をついているようにはどうしても思えない……。



だとしたら……。


カレンは二重人格?


いや、多重人格なのかもしれない。



いや、でもそんなことはないだろう……。


そんなはずは……。



でも、もしそうだとしたら……。


俺は、またカノンに逢えるのかも知れないな……。



少し冷静さを取り戻した俺は、フッと笑いながらそんなことを考えていたんだ。