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「うん? どうしたのカレン……送っていこうか?」
カレンは、相変わらず困ったような顔をしていた。
「あのね……わたし、ちょっと行きたいところがあって……」
「そうなんだ! 俺で良かったら付き合うけど?」
そんな俺の言葉を聞いて、カレンの表情はパァっと明るくなった。
「ホントにいいの?」
「何言ってんだよ! 俺だって、もう少しカレンと一緒にいたかったからね!」
そのときカレンは、本当に嬉しそうに微笑んだ。
店を出る前に、俺はトイレに行った。
用を足してトイレのドアを明けると、そこにはエリちゃんがいた。
エリちゃんは少しだけ酔っているのか、俺に抱き付きながら言った。
「ねぇ、電話番号教えてよ!あたしのは、これだから……」
エリちゃんは、用意していたのか自分の電話番号を書いたメモを俺に手渡す。
「俺のはタローに聞いてくれよっ、な!」
俺は、わざと明るい声を出してエリちゃんの反応を見る。
一瞬真顔になったエリちゃんは、少し怒ったような顔をして俺をじっと見た。
そして、甘えるように俺にもう一度言った。
「ねぇ、お願い! 絶対教えて! 今知りたいの!」
やれやれ、我侭なお嬢さんだ……。
俺は苦笑いしながら、電話番号を口にした。
エリちゃんは、ヴィトンの小さな手帳を取り出してそれをメモする。
そして、何事もなかったかのようにタローの元にスキップしながら戻って行った。
店を出た俺たちは、2対2で分かれることになった。