8
次の日、午後8時。
俺は渋谷の道玄坂にあるワインバーにいた。
「おう! 久しぶり……どうよ、最近?」
ダチのタローが嬉しそうに俺に声を掛ける。
「あぁ、まぁボチボチだな……お前は?」
「うーん、まぁまぁかな……」
久しぶりに会った俺たちは、そんなことを言って笑い会う。
気の置けないダチは、やっぱり良いもんだ。
「うん? まだ女の子たちは来てないの?」
「あぁ、もう来ると思うけどね……」
いかにも高級そうなウッドのテーブルには、4人分のセットが置かれていた。
ということは、今日来る女の子は二人ということか……。
タローからは、今日来る子は歯科衛生士だと聞いていた。
タローが通っている歯科医院で仲良くなったらしい。
俺も仲良くなったら、歯の掃除でもして貰えるかな……。
俺は、そんな気楽な気持ちでこの場に来ていた。
もちろんカノンのことは、まだ頭の中にある。
俺は柄にもなく、まだカノンのことを想っていた。
だけど、もうさすがになぁ……。
今夜は今夜で楽しめれば、それでいいじゃないか……。
俺は、そんなことを考えながら女の子たちを待つ。
程なくして、女の子たちが店に現れた。
「エリちゃん、こっちこっち!」
タローが嬉しそうに声を上げた。