100(完結)
亮二は、ハッと目を見開いた。
ここは、どこだ……?
2009年1月。
亮二は、渋谷のカフェにいた。
少しの間、眠っていたらしい……。
もう歳かな……最近疲れが取れないんだよな……。
亮二は、苦笑いしながらガラスに流れる雨粒を見た。
雨、か……傘なんて持ってないし……まぁ、いいか……。
カフェを出た亮二は、鉛色の雨空を見上げた。
仕方ない、駅まで走るか……。
カフェを飛び出した亮二は、目の前に赤い色を感じた。
何だ……? うわっ!
そのとき亮二は、赤い傘を持った誰かにぶつかった。
「ご、ごめんなさい!……大丈夫ですか?」
可愛い、女の子の声が聞えた。
「いや、こちらこそゴメン! 大丈夫?」
傘の向こうから、ひとりの少女が顔を出した。
そして少女は、ニッコリと笑ってこう言った。
「お詫びに……一緒に歩きましょう! 渋谷駅まで!」
「あぁぁ……ぼくで……よろしければ……あの、君……名前は?」
「なつこ。夏に生まれたから、夏子……」
亮二は、不思議な感覚を感じていた。
俺は、きっとこの子を永遠に愛し続けるという……そんな予感を……。
何かの運命に導かれるような……そんな予感を。
エピローグ
運命とは、信じること。
誰かの幸せを本気で願えば、それは叶う。
春子にとっての代償とは、亮二が春子の記憶を永遠に失ってしまったこと。
亮二にとっての代償とは、春子という存在が永遠に消えてしまったこと。
そして、夏子の代償とは……?
運命とは、信じること。
そう思い込むことで、事実は同調する。
すべての愛する想いを、完璧に同調させながら。
すべての運命は、Synchronizeする。
そう、必ず……。
『Synchronize(シンクロナイズ)』
了
CopyRight by Hiroto Izumi 2009.9.18