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大切な思い出が、走馬灯のように流れて行く。



……最後には、本当にこんな風に見るんだな……。



いつの間にか、亮二は頭の痛みも感じなくなっていた。



カラダの重さも、痛みも何も感じない。



目の前が真っ暗になって、さっきまで聞えていた街の雑音(ノイズ)も聞えない。



ただ冷たい静寂が、亮二を包んでいた。



俺は……今まで、自分の事だけを考えていたのかもしれない……。



春子を愛することも、夏子を愛することも……。



それは、結局ただ自分のためだけだったんだ……。



夏子……本当に、すまない……。



俺は結局、君を苦しませることしか出来なかった。



春子、ごめん……。



俺は、君との約束を守れそうにない……。



そのとき、亮二の頭の中で何かが爆発した。



鈍い衝撃を頭の中に感じながら、それでも亮二は願っていた。



夏子……幸せになってくれ……。



俺のことは忘れて……幸せに……。



……そして亮二は、ついに動かなくなった。