99
大切な思い出が、走馬灯のように流れて行く。
……最後には、本当にこんな風に見るんだな……。
いつの間にか、亮二は頭の痛みも感じなくなっていた。
カラダの重さも、痛みも何も感じない。
目の前が真っ暗になって、さっきまで聞えていた街の雑音(ノイズ)も聞えない。
ただ冷たい静寂が、亮二を包んでいた。
俺は……今まで、自分の事だけを考えていたのかもしれない……。
春子を愛することも、夏子を愛することも……。
それは、結局ただ自分のためだけだったんだ……。
夏子……本当に、すまない……。
俺は結局、君を苦しませることしか出来なかった。
春子、ごめん……。
俺は、君との約束を守れそうにない……。
そのとき、亮二の頭の中で何かが爆発した。
鈍い衝撃を頭の中に感じながら、それでも亮二は願っていた。
夏子……幸せになってくれ……。
俺のことは忘れて……幸せに……。
……そして亮二は、ついに動かなくなった。