93
亮二は一歩一歩、ゆっくりと歩き続ける。
駅から夏子のアパートまでは、そんなに距離がないはずだった。
しかし、今の亮二にとっては長い長い道のりに感じられた。
亮二は公園の中をよろよろと歩く。
頭痛は、もう我慢出来ないほどになっていた。
亮二は、崩れ落ちるようにベンチに腰を下ろす。
ふぅ、と一つ息を吐いた亮二はゆっくりと目を閉じた。
カラダが、グラグラとゆっくり揺れている。
まるで地球の自転が止まって、自分がグルグルと回っているかのような気分だ。
青臭い夏草の香りがする……。
もうすぐ梅雨になって……そして、また夏がやってくる。
そのとき亮二は、漠然と自分の人生のリミットを感じていた。
俺の人生は、一体なんだったのだろう?
愛する人を守ることも出来ない。
愛する人をただ、悲しませるだけの人生……。
俺は、ずっと自分から幸せになるチャンスを手放していたのかもしれない。
そして、やっと自分がどうするべきか気づけたのに。
俺は、もう……。
亮二は少しずつ、何も考えられなくなっていた。
そして亮二は、がっくりと崩れ落ちた。