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地下鉄東池袋駅に着いた亮二は、ゆっくりとした足取りで夏子のアパートへと向かう。
頭痛は、徐々に酷くなっていた。
夏子……待っていてくれ……すぐに、すぐにそばに行くから……。
フラつく足元で、亮二はゆっくりと歩く。
やっとの思いで地上に出た亮二は、眩しい日の光に目を眩(くら)ませた。
少しずつ、意識が遠のいて行く……。
いや、ダメだ……。
いや、俺は大丈夫……。
亮二は気をしっかりと持とうとして、そんなことをいつの間にか呟いていた。
夏子……。
俺は……君と一緒に生きて行きたい。
君を幸せにすることが……きっと、春子への償いになる。
俺は、ずっと罪の意識を背負って生きて来た。
だけど、何もしないまま時間ばかりが過ぎてしまった。
もしも……俺が、春子を本気で捜していたら……。
今の現実は変わっていたに違いないのに……。
俺には、勇気がなかった。
でも、それではダメなんだ!
何も変わりはしないんだ!
俺は、やっと気づくことが出来たんだ。
だから、夏子……君と……。