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病室に戻った亮二は、病院で買ったパジャマを脱いで私服に着替える。


この服も病院の売店で買っておいたものだ。



亮二には、予感があったのかもしれない。


だからきっと、亮二は病院の外に出るための服を用意していたのだ。



病室を出た亮二は、医師や看護士に見つからないように廊下を歩く。


もちろん、亮二は外出禁止だった。



頭の奥から、ジンジンと鈍い痛みが定期的に襲ってくる。


しかし、それは我慢出来ないほどの痛みではない。



そして、それよりも今の亮二にとっては。


そんなことは、大した問題ではなかった。




夏子……。


俺は、いま君に逢いたい。



やっぱり、俺は……。


君を本気で愛してると気づいたから。



夏子、ごめん……。


嘘をついて、ごめん。



俺は、君に迷惑を掛けてしまうかもしれない。



だけど、このまま消えてしまうのは……やはり違うと思ったんだ。



もう君に、寂しい思いはさせたくない。



逢ってから、ゆっくり話をしよう。




そんなメールを夏子に送った亮二は。


地下鉄のシートにカラダを預けて、ゆっくりと目を閉じた。