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亮二は、自分の心に正直に訊いてみた。
俺は、どうしたい?
春子と過ごした日々。
そして、夏子と過ごした日々。
どちらも、俺にとって幸せな時間だった。
だけど……。
結局、俺のせいで春子に辛い思いをさせてしまった。
そして、夏子にも同じように……。
そして、もしも俺がこのまま夏子の前から消えてしまったら?
春子が消えてしまったことで、俺自身はどうだった?
俺は春子のことが、ずっと忘れられなかった。
俺が、夏子の前から本当に消えてしまったとしたら……。
俺は夏子に、俺と全く同じ思いをさせてしまうことになるのではないのか?
俺は、夏子といま一緒に居たい。
俺が、夏子を幸せにしたい……。
そして、俺は……生きていたい。
夏子のために……。
亮二は満開の桜の花を見上げて、そう決意したのだ。