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亮二はMRI画像に映し出された腫瘍の形をじっと見つめた。



これは……腕時計の、形?



それは、まるで夏子が俺に渡したROLEXの形をしていた。



ベルトを外した形……上下の両端がそれぞれ角のように小さく突き出していた。



「この形が、手術を難しくしているひとつの要因です……」



医師は、相変わらず難しい顔で亮二にそう言った。



亮二は、考えていた。



この形が意味することって、何なんだろう?



きっと、これも何かの意味があるのだろうか?



頭痛が治まってきた亮二はベッドサイドに置いてあったケータイを無意識に取って、ゆっくりと病室の外へ出る。



長い廊下をゆっくりと歩いて、エレベーターに乗る。



病棟の玄関を抜けて、病院の中庭に出る。



木製のベンチに腰掛けた亮二は、ゆっくりと空を見上げた。



亮二の目には、青空と満開の桜の花が映っていた。



夏子……。



俺は、どうすればいい?



夏子を守ることが、これからの俺の生きがいだと思った。



だけど、もうそれも叶わない夢なのか……。



そのとき、亮二のケータイに一通のメールが着信した。