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上尾のロイヤルホストに亮二はカムリを止めた。
メニューを見る夏子は、いつもと変わらない笑顔を見せようとしていた。
しかし、その笑顔はぎこちない。
夏子がずっと知りたくて、それでも避けて来たことを俺は知ってしまった。
しかし、今の現実では夏子が思っているほどひどいことが戸籍謄本に書いてあるわけではない。
さっきの現実では、さすがにひどかったが……。
良かった……俺が夏子の父親ではなくて……。
亮二は、そう思いながらも本当は……さっきの現実でも良かったのかもしれない、と考え始めていた。
もしも俺が夏子の本当の父親だったら、夏子と一緒に居て夏子を堂々と見守ることが出来る。
しかし今の現実では、俺は……。
俺は、これから夏子にどう接すれば良いのだろうか?
たのんだボンゴレロッソのスパゲティを、夏子はおいしそうに食べていた。
「おいしいよ、亮ちゃん! 亮ちゃんのドリアもおいしそうだね!」
けなげに笑顔を作る夏子が、愛しい。
俺は、夏子を愛している……。
亮二は、確実にそんな気持ちを感じていた。
でも、俺は……。