74


そんなことを考えながら、亮二はカムリを走らせる。



いつも間にか、夏子がじっと運転する亮二の横顔を見つめていた。



夏子が、愛しい。



それが亮二の、いま偽らざる気持ちだった。



しかし……。



ただ愛しているという感情だけで突っ走れるほど亮二は若くはなかった。



春子のことを抱えながら生きて来た時間が、亮二を臆病にしていたのだ。



亮二は、迷っていた。



俺は、夏子にどのように接すれば良いのだろう?



夏子の俺に対する感情は、痛いほど分かる。



夏子は、俺を愛してくれている……。



だけど……だからこそ、亮二は迷っていた。



夏子を幸せに出来るのは、きっと俺ではない。



26歳と言う、年の差もそうだ。


俺は、ずっと夏子と一緒に居られるわけではない……。



「亮ちゃん、お腹空かない? 何か食べる?」



夏子の、そんな声に亮二はハッとする。



「そうだな……何か食べようか?」



そう言って亮二は、夏子に優しく微笑みかけた。