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消え行く意識の中で、亮二は何故か春子を想った。



春子……俺は、どうすればいい?



俺は……春子、お前を幸せに出来なかった。


お前を失くした現実を抱えたまま、俺はずっと生きてきた。



そして、その現実の中で夏子に出逢った。



だから俺は……今度こそ、夏子を幸せにしたいと思ったんだ!



春子、教えてくれ!


俺は、どうすればいいんだ?



春子……!



そのとき、亮二の目の前に春子が現れた。



真っ白い光に包まれた世界。



そこには、亮二と春子しかいない。



「亮ちゃん……夏子を救ってあげて。それは、もう亮ちゃんしか出来ないから……」


「春子……でも、夏子は俺の……俺の娘なんだろ?」


「そう……この世界では、ね……だけど、亮ちゃん……亮ちゃんは、どうしたいの?」



春子は、少しだけ寂しげに亮二を見つめていた。



目の前にいる春子は、とても美しい。



そして、やはり夏子に良く似ていた。



「俺は……自分の現実を生きたい! 春子が……いなくても、ずっとそうして生きて来たんだ……」


「亮ちゃん、ごめんね……だから……」



春子はスーッと亮二のそばに来て、ゆっくりと亮二を抱き締めた。