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冬子は、1990年の夏に亡くなっていた。
……ちょっと、待て!
春子が夏子を引き取らなければいけなかった理由は何だ?
もしも、夏子の父親がいたらそいつが引き取れば良い話だ。
……っていうか、それって俺?
分からない!
頭がどうにかなりそうだ!
亮二は、もう一度戸籍謄本を確認する。
えっ?
父 佐久間亮二 1990年死亡
ちょっと待て!
さっきは、そんなことは書いてなかったぞ……!
そのとき亮二は、激しいめまいを感じ始めていた。
俺は、消えてしまうのか?
そうか、俺はここにいてはいけない人間だから……。
「どうしたの、亮ちゃん! しっかりして、大丈夫?」
夏子の声が遠くなる。
そうか、俺は消えてしまうのか……。
助けてくれ……。
助けてくれ、春子!