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夏子は、本籍を東京には移していなかった。



行田市役所の窓口で、夏子は自分の戸籍謄本を請求した。



書類が出来るまでの間、亮二と夏子は長いすに座って待っていた。



「亮ちゃん……受け取ったら亮ちゃんに渡すから、見て……」



夏子は少しだけ苦しそうな表情で、じっと前の方を見つめていた。



夏子は出来上がった戸籍謄本を見ないようにして、亮二にそっと渡す。



亮二は、すばやくその書類を折りたたんで封筒に入れる。



そして、それを持ったまま夏子を促して歩き出す。



駐車場のに戻ったふたりは、無言のままカムリに乗り込んだ。



「じゃぁ見るよ……夏子……」



亮二は、ふぅとひとつ息をついて封筒から戸籍謄本を取り出した。



夏子は……春子の養子だった。



そして、春子の欄には平成19年に死亡と書いてあった。



亮二は、複雑な気持ちでただそれを見つめていた。



春子……すまない……。



亮二の気持ちは複雑だった。



願えば、また春子を取り戻すことが出来るのかもしれない。



だけど、そうしたら夏子が……。



俺は、夏子を選んだんだ。


これが俺にとっての現実だから……。



ふと流れた涙をそっと拭いた亮二は、夏子の両親の名前を確認する。