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何か願いが叶うとき、その代償は必ずあるはずだ。



だから亮二は、2ヶ月の時間の空白を冷静に受け止めていた。



それでも、俺は夏子との再会を望んだ。


そして、それは叶った。



だから、それでいいじゃないか……。



亮二は、そう理解していた。



亮二は、優しく夏子に声を掛ける。



「さぁ、行こう……」



アパートを出た亮二は、車を止めたパーキングへと向かう。



古いトヨタ・カムリは、亮二が止めた場所にあった。



不思議なことに、車は埃をかぶっているわけではない。


駐車料金も、30分以内の金額だった。



俺がいるのは、以前の俺がいた世界とは少し違っているのかもしれないな……。



亮二は、そのときそう感じていた。



パーキングからカムリを出した亮二は、夏子を乗せて出発した。



「……どこに行くの亮ちゃん……でも……そうだよね……」



夏子は少しだけ不安な表情で、運転する亮二の横顔を見つめていた。



「……あぁ……市役所に行く……行田の……」



そんな亮二の言葉を聞いた夏子は、諦めたようにシートに深く座り直した。