61


「うん……でも、どこへ行くの亮ちゃん?」



夏子は、ちょっとだけ不安な表情で亮二に笑い掛けた。



亮二は、じっと夏子を見つめて言った。



「どうしても確かめたいことがあるんだよ、夏子……」



優しく夏子を抱き締めながら、亮二はそう言った。



ふと目を上げた亮二は、そのとき初めて夏子の部屋の中をちゃんと見た。



夏子らしく、女の子らしい可愛い部屋だ。



春子の部屋とは、さすがに印象が違う。



やはり、これが現実なんだよな……。



亮二は、そんなことを感じていた。



壁に掛かった時計に、亮二は気づく。



それは、日付と時間がデジタル表示される電波時計だった。



2009年3月30日(月)か……。



空白の2ヶ月は、どうしたのだろう?



亮二は解明出来ない、そんな不可思議な事実を冷静に受け止めていた。



願えば、叶う。


これはきっと、その罰なのだ。



願いが叶うために、俺は時間を失うのかもしれない……。



亮二は、ふとそんな予感を感じていた。



確信にも似た、そんな予感を……。