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「うん……でも、どこへ行くの亮ちゃん?」
夏子は、ちょっとだけ不安な表情で亮二に笑い掛けた。
亮二は、じっと夏子を見つめて言った。
「どうしても確かめたいことがあるんだよ、夏子……」
優しく夏子を抱き締めながら、亮二はそう言った。
ふと目を上げた亮二は、そのとき初めて夏子の部屋の中をちゃんと見た。
夏子らしく、女の子らしい可愛い部屋だ。
春子の部屋とは、さすがに印象が違う。
やはり、これが現実なんだよな……。
亮二は、そんなことを感じていた。
壁に掛かった時計に、亮二は気づく。
それは、日付と時間がデジタル表示される電波時計だった。
2009年3月30日(月)か……。
空白の2ヶ月は、どうしたのだろう?
亮二は解明出来ない、そんな不可思議な事実を冷静に受け止めていた。
願えば、叶う。
これはきっと、その罰なのだ。
願いが叶うために、俺は時間を失うのかもしれない……。
亮二は、ふとそんな予感を感じていた。
確信にも似た、そんな予感を……。