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亮二は気づいてしまった。



春子を手に入れることで、夏子を失ってしまったということに……。



亮二は、その事実にカラダの奥からの恐怖を感じていた。


それは、亮二が想像していたよりもずっと大きな恐怖だった。



「どうしたの、亮ちゃん?」



春子の声に、亮二はハッとして目を開けた。



目の前にいる春子が、心配そうに亮二を見つめていた。



亮二は、何も言えずにただじっと春子を見つめ返す。



そのとき亮二は、春子に掛ける言葉を見つけられないでいた。



俺は本当に望んでしまったのだろうか?



俺が信じていた現実。


それが今、現実では無くなってしまったのか?



亮二は、混乱していた。


本当に、これでいいのだろうか?



いたたまれなくなった亮二は、春子にこう言った。



「春子、ゴメン! ちょっと急な用事を思い出した。また連絡するから、今日は行くわ……」


「……うん。分かった。またね、亮ちゃん……」



春子は亮二を見つめて、少し寂しそうに笑った。



アパートを出た亮二は、もう一度アパートの外観を見た。



アパートの外観は、真新しくて白かった。