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「……どうしたの、春子……」
亮二は努めて平静を装って春子に訊いた。
「うん……大丈夫……何でもないよ、亮ちゃん」
春子は、そう言ってニッコリと笑う。
あの時、俺は春子の変化に何も気づけなかった。
でも、今は違う。
俺は……春子を守る!
亮二は春子のそばまで歩いて、春子をギュッと抱き締めた。
「どうしたの、亮ちゃん……大丈夫だよ、何でもないよ!」
えっ?
亮二は、春子の顔をまじまじと見る。
そのとき春子は、ニッコリと笑っていた。
「なぁ、春子……もしかして、何かあったんじゃないのか? たとえば……事故とか……」
「ううん、事故なんてないよ! お母さんから連絡があっただけ……ちゃんと連絡しなさいって、怒られちゃった!」
そう言って春子は、ぺろっと舌を出した。
おかしい……。
亮二の頭は混乱していた。
春子は、嘘をついているようには見えない。
もしかしたら、何かが変わってしまったのか?
それは19年前に、俺が戻って来たから……?