51


目を閉じた亮二は、ひとつゆっくりと息を吐く。



これは幻なのだろうか?



でも、確かに俺の腕は懐かしい春子のカラダを感じている。



俺の鼻は、懐かしい春子のニオイを感じている。



ゆっくりと目を開けた亮二は、確かに目の前にいる春子を確認してホッとしていた。



玄関先にある大きな鏡には、亮二と春子の姿が映っていた。



そこに映っている自分の姿を、亮二は見つめた。



その姿は、確かに19年前の自分の姿だった。



何が起こったのかは分からない。


でも、俺は春子をまた手に入れることが出来た……。



亮二は、こんな不思議な出来事を冷静に受け取っていた。



「亮ちゃん、わたし嬉しい……最近、亮ちゃん少し冷たかったし……」



うっすらと涙を浮かべて、春子がそう囁いた。



「……ごめん、春子……もう離さないから、ずっと……」


「……でもね、亮ちゃん……わたし……」



春子は、ポロポロと涙を流しながら亮二を見つめていた。



俺は、全てを受け入れる。



春子と、夏子を幸せにしたい……。



「春子……俺に話してくれないか? お前が抱えていること、全てを……」



そのとき春子は、驚いたように亮二を見つめていた。