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亮二は、その住所を覚えていた。



それは、間違いなく春子の住んでいたアパートの住所だった。



「夏子、もしかしたら……部屋番号は103号室じゃないよな?」


「どうして知ってるの? そうだよ! もしかして、それって……」


「……あぁ、君のママが住んでいた部屋だよ……」


「うそ……そんな偶然があるなんて凄い! そう思わない? 亮ちゃん!」



夏子の興奮した声を聞きながら、亮二はそんな不思議な偶然に動揺していた。



……いや、これは偶然ではないのかもしれない。


夏子は、本当は知っていたんじゃないだろうか?



いや、でも……。


夏子の様子からすると、そんな風には思えないし……。



亮二は、そんな複雑な思いで夏子の楽しそうな声を聞いていた。




次の朝9時、亮二は東池袋にいた。



10年落ちのトヨタ・カムリを夏子が住むアパートの近くのパーキングに止めた。



あの頃とは、かなり街並みが変わっていた。



当たり前だよな……あれから20年近くも経っているんだから……。



しかし、建物が変わっていたとしても道路はほとんど変わっていない。


亮二は、昔の記憶を辿りながら夏子の住むアパートを目指す。



夏子は、なぜ春子の住んでいた部屋にいるんだろう?



これは、運命なのか?


神のいたずらなのか?



それとも……。