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亮二は、混乱していた。



それは、自分自身の気持ちを持て余していたからだった。



春子への想い。



そして、夏子への想い。



その気持ちが混ぜ合わさるように、亮二を混乱させていたのだ。



本当のことを言うと、いま亮二は。


これ以上、夏子に色々訊くのは辛かった。



しかし、亮二は言葉を続けた。



どうしても確かめなければならない事、そのカギを探すために。



「夏子……ママは、誰かと結婚したわけじゃなかったのか?」


「うん……あたしにはずっとパパがいなかったよ……」


「そう、か……」



夏子の言葉を重く受け止めながら、亮二は言葉を続ける。



「夏子……ママが亡くなってから、君はどうやって生活しているんだ?」


「高校は……なんとか卒業出来そうなの。バイトをしながら、なんとか……今も、そう……」



亮二は、夏子を何とかしてやらなければと感じ始めていた。



それがきっと、俺のこれから生きる意味だとまで感じながら。



「いま、君はどこに住んでいるんだ?渋谷の近くなのか?」


「……ううん。東池袋のほうだよ……古いアパートに独りで……」


「どうして東池袋に? 昔、ママが住んでいたからかい?」


「ううん……そうなの? ママも東池袋に住んでいたの?」



亮二は、夏子を見つめながら。


そんな不思議な偶然に驚いていた。