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亮二は、そんな自分の心に自分自身で驚いていた。
確かに、春子とのことは19年も昔のことだ。
ずいぶんと時間が経ってしまった……。
でも、俺は……。
春子のことは、ずっと忘れられなかった。
俺は、間違いなくずっと春子を愛し続けていた。
しかし……。
亮二は、混乱していた。
今、目の前にいる夏子が愛しい。
それは、間違いなく素直な感情だった。
それは、夏子が春子の娘だからか?
それは、春子への想いの代償行為なのか?
俺は、夏子を愛し始めている……?
……いや、そんなことはない。
26歳も年下の夏子を愛するなんて……。
そんなはず、ないじゃないか!
その時の亮二には、まだ自分の心に向き合う余裕がなかったのかもしれない。
そして、そのことが。
亮二と夏子、ふたりの関係を大きく狂わせることになるとは。
その時、亮二は思いもしなかった。