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亮二は、気づいてしまったそんな事実に頭を抱えていた。
俺は、どうして今まで気づかなかったんだろう。
夏子は、夏に生まれたから夏子なのに……。
夏に生まれたということだけでも、俺の子供じゃないと分かるのに……。
亮二は、自分のマヌケさを恨んでいた。
そして、夏子はいったい何者なのだろうか?
夏子の年齢を考えると、春子が産んだ子供ではない……はずだ。
しかし、夏子には間違いなく春子の面影がある。
夏子は、春子に似ている。
ちょっとした仕草や表情が、間違いなくあの頃の春子を思い出させるのに……。
亮二は、混乱していた。
夏子、君はいったい……。
亮二は、ゆっくりと深呼吸をして夏子に訊いた。
「君は、本当は春子さんの娘じゃないんじゃないか? 本当のことを言ってくれないか?」
夏子は、悲しそうな表情でじっと亮二を見つめた。
そして夏子は、ゆっくりと口を開く。
「ねぇ、亮ちゃん……あたしは、ね……娘だよ……間違いなく、ママの……」
そんな夏子の言葉に亮二は、もう一度頭を抱えるしかなかった。
分からない……。
いったい、どういうことなんだ!?