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春子……春子!



亮二は、自分のマンションの部屋を飛び出した。



タクシーに飛び乗って、春子のアパートを目指す。



亮二が住む新宿河田町から、東池袋までは。


深夜のこの時間なら、タクシーで15分ほどだ。



それでも亮二は、ジリジリしながらタクシーの中にいた。



春子は、どこかに行ってしまったのか?


いや、そんなバカな……。



押しつぶされそうな不安と戦いながら、亮二は窓の外を流れる景色を見ていた。



じっと。


春子のことを考えながら……。



タクシーが、春子のアパートの近くに着く。



亮二は急いで料金を支払って、領収書も受け取らずにタクシーを飛び出した。



走りながら亮二は、心の中で叫んだ。



春子……どこにも行くな!


春子!



アパートの階段を駆け上がって、春子の部屋の前に着く。



そして……。



ドアノブに掛かった、電気の使用開始手続き用紙を見た亮二は。


もうこの部屋に春子がいないんだ、と思い知らされていた。