13
亮二と春子は、偶然に出逢った。
それは、まるで夏子との出逢いと同じように。
亮二は、その頃ある広告代理店で働いていた。
あるイベントで、春子はコンパニオンとして働いていた。
イベントが終わったあと、夜の晴海のバス停で偶然亮二と一緒に列に並んだ。
その時、突然雨が降り出した。
昔から折り畳み傘を持つのが嫌いな亮二は、当然困っていた。
そのとき、声を掛けたのが春子だった。
「あの……もし良かったら、入りませんか?」
差し出された水色の傘とともに、亮二は春子の美しさに目を奪われた。
「あぁ……ありがとうございます……」
それから、バスが来るまでの約5分間。
亮二と春子は、ひとつの小さな傘の中にいた。
特に、言葉を交わすこともなく。
ただ、ふたりとも黙って……。
バスに乗ったふたりは、なんとなくそばに立っていた。
混んでいるバスが揺れるたびに、春子のカラダが亮二に触れた。
亮二は、ドキドキしながら春子の横顔を盗み見た。
それが、亮二と春子の初めての出逢いだった。