亮二は、いつものように渋谷の街を歩きながら夏子を捜した。



やっぱり、いないのか……。



亮二は、いつものように夏子と出逢ったカフェに行った。



入り口の近くの席に座って、ガラス越しに夏子の姿を捜す……。



なかなか見つけられない夏子のことを、亮二はずっと考えて続けていた。



どうして夏子は俺に声を掛けたのだろう?



どうして……?



そして亮二は、あの時の夏子の笑顔をどうしても忘れることが出来なかった。



夏子を捜すことを、諦めるのは簡単だ。



しかし亮二は、どうしても夏子にもう一度逢いたいと願っていた。



もしも、この願いが叶うのならば俺は全てを失ってもいい……。



亮二は、いつの間にかそれほどに夏子のことを想っていた。



お願いだから、夏子にもう一度逢わせて下さい……。



亮二は目を閉じて、ただそんなことを祈り続けた。



亮二は、何かの神を信じているわけではない。



しかし、その時は確かに何かにすがりたかった。



形はなくても、確かに信じられるもの……。



それは、もしかしたら亮二にとっての夏子という存在と同じような……。



そして。


亮二は、目を開ける。



すると。


亮二の目の前、ガラスの向こうに夏子が立っていた。