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ポケットに入っていたもの……。
それは、ROLEXの腕時計だった。
レディースサイズの小さな時計。
キラキラと輝くゴールドの輝き……。
18Kの金無垢か……?
しかも文字盤には、10ポイントの小さなダイヤが上質な輝きを放っていた。
ベルトは金属ではなく、チョコ色をしたこれまた上質な革だ。
もしもベルトまで金無垢だったら、あまりにもちょっと……だが。
革ベルトのおかげで、時計全体のバランスはとても上品に落ち着いて見えた。
良く見ると、少し古いタイプのようにも見えたが。
これって、本物……?
だとしたら、100万円は下らない代物だろう。
なぜそんなものが、俺のポケットの中に……?
カフェでタバコを吸ったときには、そんなものはなかった。
ということは……もしかして、さっきの夏子?
いや、そうとしか思えない。
それ以外には、俺のポケットにこんなものが飛び込むチャンスなんてなかったはずだ。
左手でつり革につかまった亮二は、右手の掌に隠すように。
キラキラと輝く、その時計をじっと見つめていた。