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『ぼくとケータイの間に満たされたもの』



ふわっ、と優しく流れる風が。


伸び始めた、ぼくの前髪を優しく揺らした。



暑いのか、涼しいのか。


良く分からない、こんな夜には。


一枚羽織った、薄手のナイロンジャケットがありがたかった。



君との待ち合わせまで、あと1時間。



中途半端な、そんな時間を。


ぼくは、小説を書きながら潰していた。



地下鉄のベンチに腰掛けながら。


ぼくは、物語を書き始める。



君と過ごす時間と同じように。


穏やかな、温かい気持ちで。



ぼくは、物語を綴る。



周りの雑音は、すっかり消えて。


ぼくとケータイの間は、君への想いだけで満たされる。



こんな瞬間に、ぼくは気づくんだ。



うん。


君への大切な気持ちを。



確かに……。



『ぼくとケータイの間に満たされたもの』