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『呟いた、君へのハッピーバースディ』
ふと、ケータイを見る。
今日は4月23日、か……。
あっ……。
ぼくは、ずっと忘れていたはずの。
君の誕生日を思い出す。
あの頃君は、本当にかわいくて。
たまにしか逢えなかったけれど。
ぼくは、きっと本当に君を愛していた。
君との関係を終わらせたのは。
間違いなく、ぼくのワガママだった。
もしも、あのとき。
ぼくが君に別れを告げなかったら。
いったい、ぼく達はどうなっていたのだろう……。
そんな意味のないことを考えながら。
ぼくは独り、カフェでコーヒーを飲む。
あれから、ずいぶん時間が経ったけれど。
やはり、君のことは。
ずっと忘れられないんだろうな……。
ぼくは、囁くように呟いたんだ。
「誕生日おめでとう」って。
15年も前に。
失ってしまった、君の幸せを祈りながら。
少しだけの後悔と。
君への、罪の意識を感じながら……。
『呟いた、君へのハッピーバースディ』
了