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『東京には雪がない、と君は言った』



東京に空がない、と智恵子は言った。



東京には雪がない、と君は言った。



東京で暮らす、ぼくにとっては。


雪がないのは、当たり前のことだ。



だけど。


雪に囲まれて暮らす、君にとっては。



ぼくが日記に上げた写真が。


とても不思議に思えたのだろう。



だけど。


ぼくたちの環境が、どんなに違っていたとしても。



ぼくたちの心は。


きっと、同じ方向を向いている。



ぼくたちは、距離を超えて流れる。


同じ時間を、共有している。



だから。



ぼくたちには、壁なんてない。



そう、信じることが出来るから。



ぼくは、きっと君を……。



『東京には雪がない、と君は言った』