23
『もしも、ひとつだけ』
もしも、ひとつだけ願いが叶うとしたら。
ぼくは、君の幸せを願いたい。
もしかしたら、二度と逢えないかもしれない君を。
ぼくは、ずっと愛し続けている。
もう、君には逢えないかもしれないけれど。
本当は、ぼくは。
いつか君に逢えると、信じているのかもしれないね。
だって、そう思わなければ。
ぼくは、きっと生きて行けないから。
ぼくの心に残る傷は、一生消えないのかもしれない。
だけどそれは、ぼく自身が選んだこと。
だから、仕方がないんだ。
君と離れて、もう10年が経った。
ぼくは、もう君の顔も分からない。
だけど……。
もしも、ひとつだけ願いが叶うとしたら。
ぼくは、君の幸せを願いたい。
だって。
離れていたって。
君はずっと、ぼくの娘なんだから。
君が、ぼくの存在を知らなくても。
ずっと……。
『もしも、ひとつだけ』
了