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『本当は、少しでも』
君にとっての、ぼくは。
一体、何だったのだろう?
あの時。
確かに、ぼくが必要だと言ったはずなのに。
結局、君は。
ぼくに、逢いたくなんてないんだね?
君自身に包まれるような。
あの時の優しさや。
ぼくを誘うような。
あの時の言葉は。
やはり、ただの幻だったんだね?
ぼくは、君を信じたかった。
ぼくを見つめた、君の瞳も。
どこにも行かないで、と言った君の言葉も。
だけど、結局。
君は、ぼくなんか必要じゃないんだよね?
だから。
ぼくは、君と離れることに決めたんだ。
君を想うことが、もう辛くて。
君を信じることが、ただ苦しいから。
だから、ぼくは。
独りで歩き続ける。
そう、決めたから。
でも、ね。
それでも、本当は。
ぼくは、願っているんだ。
本当は、少しでも。
君が、ぼくを必要としてくれることを。
本当は、少しでも。
君が、ぼくを愛してくれることを……。
『本当は、少しでも』
了